室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年5月(1)

2024年5月9日(木) 小雨 気温12℃ 微風

写真1 左 スイカ苗(接ぎ木)の枯れ死。定植1週間で4本すべてがしおれてしまった。定植してから最低気温6℃(保温ネットをしていた)となったためと思ったが、引っこ抜いてみると、根っこの部分に蠢(うごめ)くものが。直径1mmx長さ3mmの白いものが(写真右 朱丸)。なんと、コバエの幼虫(うじむし)が地中にある苗の茎に食い込んでいるではないか!。で、根っこの成長もない。コバエが卵を産みつける前にすぐにもみ殻を根元に撒けばよかったと反省。で、対応策として、引っこ抜いた後の土壌にも卵やうじが残っているかもしれないから苗ポットの2倍くらいの円形の穴(Φ15cmx深さ5cm)を掘り、そこに肥料兼薬剤の石灰窒素(強アルカリ性)をパラパラとまいて新しい土をかぶせた。4~5日以上置いてからの新しい苗の植えなおしとなる。

夏野菜の準備、果樹(ぶどう、いちじく)のケアが楽しい。MLBの大谷選手をはじめ日本人の活躍は本当にうれしい。小生にエネルギを与えてくれている。感謝感謝である。

真空管アンプの電源編 (つづき)

シングルアンプにおける出力3極管(3結含む)と同5極管(ビーム管含む)の内部抵抗(rp)の違いからくるB電源に重畳されるハム雑音電圧の大きさについて

先回のブログ 2024 4月4日つけ および「③テスター1丁の真空管アンプの設計(・製作) (7) 2024年4月16日更新(電源編 3 リプル(脈流))」に関連。

シングルアンプにおいて出力3極管(3結含む)と同5極管(ビーム管含む)の内部抵抗(rp)の違いによりハム雑音のリプルに違いが出てしまうからリプルフィルターに十分留意する必要がある。専門誌における製作記事でも割愛される内容でもある。

主だった3極と5極(ビーム管含む)出力管のA1級シングル動作のデータは表1のとおり。

表1
図1 (a) 平滑後のB電圧Ebbにリプル電圧Erが重畳(ちょうじょう)される。(b)このリプル電圧によってハム雑音の大きさEnが求まる。RLはOPTの1次側のインピーダンス。(出典 「パワーアンプの設計と製作」 武末数馬著

図1(a)は出力管回路の接続を示したもので(b)はその等価回路。

一例としてハム雑音の大きさを計算してみることにする。

  • 6BQ5(5極管) rp=38KΩ ,RL=5.2KΩ En≒0.12Er
  • 6G-A4(3極管) rp=1.4KΩ,RL=5KΩ En≒0.78Er

同一リプル電圧に対し出力側に現れるハム雑音電圧は、6G-A4には6BQ5の約6.5(=0.78/0.12)倍大きくなる。

実際は負帰還の違いもあるから計算通りとはいかないと思うが、「音が良い」とされる低rpの3極管シングルアンプにおいて厳重な電源フィルターが必要ということがわかる。

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年4月(1)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年4月(1)

2024年4月4日(金)

庭にあるソメイヨシの開花が例年より約1週間ほど遅れている。まだ薄く色づいた”つぼみ”の状態だ。ご近所の方々との挨拶も ”いよいよ(開花)ですね”とか”咲いたら高田公園*のお花見かな~”、と。

写真 左 庭の桜 雨も降って小生宅の「開花宣言」は今日にも。あと1週間くらいで満開になるはずだ。 庭のゼンマイ いつもの場所に”スッく”と伸びあがって、のぞみ始めて3日ほどでもう15cmくらいになっている。大株からは最初にオス(胞子葉)が、そしてそのあと4~5日くらいで(柔らかい)メス(栄養葉)がでてくる。小株からは写真の黄色丸内のメスが最初に出てくることもある。このメスを手で摘み取り頭の”白い綿”をとってから重曹入りの熱湯につけ火を止める。半日そのままにしてそのあと水洗いする。これで苦みの”あく”が抜ける。”わらび”と違って茎がしっかりしているのでよく揉んでから”天日干し”し保存する。(干したものを水で戻し食す。) ゼンマイ 庭の「春の祭典」のわき役でもある

*高田城址公園 「日本3大夜桜」の名所。高田城は徳川家康の6男 松平忠輝の居城でソメイヨシノを中心に約4000本が植えられている。それはそれは見事だ。

真空管アンプを愛してやまない。真空管アンプの「フォルム(仏語読み=”形” )」に魅せられて、あるいは、「ぬくもりのある深みのある音」をもっともっと追求したい。中毒としか言いようがないのだが、、、、、

数々の専門誌の諸先生方の製作記事を熟読したり眺めたりしてしばし時間を忘れることがままある。ビルダーにはとても楽しい時間である。

記事にある真空管アンプの電源回路を見ながら、「さて、どうして、こうなるのだろう?」と、疑問を持つこともしばしばである。

図1 コンデンサ―入力**のリプル*** 家庭用100V AC 60Hzならば 半波整流で60回/秒 両波整流で120回/秒の発生となる。これが真空管アンプ平滑回路からくる(ダイオード整流も同じ)、音量に関係なく”ブーン”という低い音の”ハム音”として残る。普通、数ボルト程度****。脈流含有率*****をできるだけ小さくするため、コンデンサーの後にフィルター用のR(抵抗)かL(チョーク)を入れる。出典 「パワーアンプの設計と製作」 武末数馬著

平滑コンデンサーの値はどうやって決めているのだろうか?特にB電源*部。交流電源を直流にする際、どうしてもリプルが残る。

  • *B電源:各真空管のプレートに供給される電源のこと。なを、A電源とは真空管を点灯するための電源。C電源とはパワー管のグリッドに供給するための電源=固定バイアスの場合)
  • **コンデンサー入力:整流管やダイオードで整流した出口に大容量のコンデンサーが並列に負荷されていること(図1)。なをこれに対して整流出口にチョークコイルを直列に負荷するものを”チョーク入力”という。
  • ***リプル (ripple 脈動のこと 英語の発音はri’pl) 専門誌などの製作記事ではローマ字読みの”リップル”と書かれているものもある。
  • ****リプル電圧 図1内の赤線部の脈流の電位差を言う。図2、3により計算で求めることもできる。

 

図4 倍電圧両波整流のリプル含有率

図4はダイオードによるコンデンサ―入力による倍電圧整流部(両波整流)のリプル含有率を示す。出典 同書

図5 UV211S(シングル) STEREOメインアンプのB電源部

小生のUV211Sで検証してみた。(100V AC, 50Hz) (図5)

UV211S STEREO アンプ: 2Eo=500V×2=1000V実測, C=100µF, Io=150mA  50Hz

なので、RL=1000/0.15=6.667KΩが求まる。Cは100µF 2個の直列なので計算用としてのCは50µF。∴C×RL=50µF×6.667KΩ=333.35µF・KΩ。50Hzの斜線との交点からEr/Eo=1.08%位と読める(図4の朱線)。したがってEr=1000V×0.0108=10.8V

ずいぶんな値だ。UV211の動作プレート電圧が高いためだが長年使用すればコンデンサーの容量抜けもあるからリプル電圧がより高くなってしまう。

「大型送信管なんか使うからだ~」と神の声が聞こえそうだ。

図6 フィルターチョークによるリプル減衰度 周波数は両波整流の場合、50Hz管内ならf=2×50=100Hzとなる。出典 同書

対策として図6のとおりコンデンサーCによる平滑のあとにフィルター用チョークを直列に入れてリプル電圧の減衰(吸収)を図らねばならない。(本アンプにはmust ,,, マスト!)

本アンプで再び検証してみた。

図6からの計算:Er=10.8V, f=50×2(両波整流のため)=100Hz C=200µF/3=66.667µF (3本直列使用のため) L=10H  RL=6.667KΩ Er’=0.0038Er=0.0038×10.8=0.041V(41mV)

 

図7 出典 同書。原図はかすれて見にくかったので小生が上書きしました。

図7からも計算に近い値が求められるので便利である(緑縦線と50Hz両波LCの交点から青横線を引くとほぼ0.0038位)。図6はフィルター抵抗RとフィルターチョークLと電解コンデンサーのものが読み取れる。CRのほうがリプル減衰度が小さいのでプレート低圧供給(~300V位)ならばチョークを使用しなくても良いように思うが、直流電圧のドロップがチョークに比べ大きいので、PTのB用タップや、Rの耐Wattも十分配慮する必要がある。

いずれにしても長年愛用(放置含む)していけば、あるいは履歴がわからない中古品を購入した場合で、電解コンデンサーの容量抜けはリプル含有率や減衰度に影響してくる。これらには電解コンデンサー新品に置き換えることも「ハム雑音などの改善や音の変化」を感じることができると思う。

追記 プリンターの故障があり参考図書などのスキャンができず本ブログのアップが大幅に遅れました。2024 4月16日アップ。

庭の桜は散りはじめ花びらの絨毯(じゅうたん)。これもまたいい。

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年3月(2)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年3月(2)

2024 3月22日 気温5℃(AM11:00)

当地(新潟 上越市、海から1.5km)は、冬にもどったようだ。シャーベット状の新雪が2cm。例年だとジャガイモの植える準備に入るのだが。。。

図1 モーツアルトの交響曲は主にEL34(6CA7)PP無帰還TWIN型自作バックロードホーン(UNIT FOSTEX FE108EΣ(10cmフルレンジ=バックロードホーン専用スピーカーユニット(8Ω))を利用している。弦とホルンが絶妙。低域もバッチシ!透明感ある再生音に癒される~。
楽譜1 モーツアルト 交響曲第25番ト短調 第1楽章 冒頭 ミステリアス?不穏?な感情を抱く。
楽譜2 モーツアルト交響曲第40番ト短調 第1楽章冒頭。愁い?の旋律。
写真 小生推(お)しの第25番CD。   レヴァイン指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団 1985DDD 併録第40番、 右 ベーム指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団1968ADD 併録第22,23,24,26番)。両者とも録音良好。 このほか録音は古いが クレンペラー指揮フィルハーモニー管弦楽団 1956 ADD STEREO、ワルター指揮コロンビア交響楽団 1954 ADD MONOもすばらしい。

今、モーツアルトの交響曲第25番(ト短調)を聴いている。第1楽章のイントロ(楽譜1)が印象的で映画の「アマデウス」でも使用されている。モーツアルトの交響曲として区分されているのが41曲 ただし第37番は欠番*。この25番は17歳の時の作品。短調の交響曲がもう一つあり、それが第40番(楽譜2– 第1楽章冒頭)。これもト短調(32歳の時の作品)

*ヨーゼフ・ハイドンの弟のミヒャエル・ハイドンの交響曲第25番をコピーし序奏を加えたものとされているため。

図3 「2チャンネル・ステレオ音響再生システムのスピーカーの位置 最適相対寸法。優れた聴覚遠近感を与える望ましい聴取範囲。および満足すべき聴覚遠近感を与える聴取範囲を示す。」オルソン著 「音楽工学」内から引用。説明文は原文のまま。

リスニングする際の最適位置を検証してみた。オルソン著の「音楽工学」内の図3を基に、8畳間と6畳間(たてなが)の場合を描いてみた(図4)。

実際、家具やベッド、机、ソファなどもありこの通りにはならないが、8畳間と6畳間(たてなが)でスピーカーユニットからの距離は両者とも約2.6m。その時のリスニングの最適音圧80~85dBとしてスピーカーからの必要Watt数を計算してみた。ただし片チャンネルのもの。公称90dB(8Ω)のユニットの場合 リスニング時の音圧80dB=0.676Watt**, 85dB=2.137Watt**となる。

ということは、8畳、6畳(たてなが)の部屋なら通常の出力1Watt ×2chで十分リスニングが楽しめると言うことだ。メイン真空管アンプでは最大出力3watt(以上)×2もあればよいから、ビルダーにとっては、「どんな出力管をつかってどう設計するか?」予算とも相談しながら、「あ~楽しい!」ということになる。

**計算式 小生の固定ブログ 「(32)最適リスニングのための watt数と距離の関係および対数公式集」を2024 3月23日アップしました。

図4 8畳間と6畳間(たてなが)の場合。スピーカーはリスニング位置に向けて角度をつけたほうがよりよいと思う。ただし高域ツゥイターのみでも可。ただ家具などで最適な真ん中の位置が取れない場合、アンプの左右のVRを個々に調整する必要あり。

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年3月(1)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年3月(1)

2024年3月4日 1℃。

2月中旬の温かさからもう雪は積もることがないと思っていた。が、どうだ。深夜から降り出した雪が10cmも積もった。

写真1  庭の「ユキヤナギ(1.5m)」 。当地では4月中ころから小さな白い花が枝いっぱいに連なって咲く。「葉っぱがヤナギのものと似ており花が咲いたらまるで”雪がかぶさった”ように見えるから。」とこの名があるそうな。 早朝からヒヨドリの”つがい”が2組。雪で食べるものがないのであろう。縁側にリンゴを置くとかわるがわるついばんでいた。1羽が小生のカメラ(距離2.5m)に”ポーズ?”を決めてくれた

先回のブログ(2024 2月(2) 2/15付け のつづき

写真2 EL34(6CA7)PP(3結) 愛称”オールマイティ”のアルプスのロータリーVR(100KA 31ポジション) とスケッチ。 2018年オーバホール時に通販で購入したもの。回転スライドタイプと違い抵抗値がポジション毎に固定されるので、「”ガリ”雑音*がないはずだ」として購入。ガリ雑音はいままでまったくないので信頼性は抜群だ。

クラシック音楽のリスニングはCDが中心となり、CDプレーヤーの出力も2.0V**(r.m.s.=root mean square=実効電圧)と小生のメインアンプの入力感度***は0.5V程度なのでプリアンプも不要。ただしメインアンプには入力VR(音量調節用の可変抵抗)が必要となる。

*「ガリ」雑音:慣用日本語。音量調節用のVR(音量ツマミ)を動かすと「ガリガリ」とスピーカーから「一定の音量」の雑音が出ることからそう呼ばれている。回転スライド型やリニアスライド型のVRの接触面が経年酸化で発生する(止めようがない劣化)。対策としてアッテネータ(attenuator)を使用する。アッテネーターは固定抵抗をたくさん並べてスィッチングで抵抗を変化させる減衰器でプロ仕様で高価。数十年前の専門誌には製作記事もみられた。

**民生のアナログの出力レベルは1.0Vが基準とのこと。その場合の最大出力レベルは+6dB(2倍)、規定出力レベルは-10dB(0.3倍)とのこと。(NET内情報)

***アンプの定格出力になる入力信号電圧のこと

 図1 抵抗と分圧の測定方法 写真3 簡単な測定装置 デジタル(埼玉のオーム電機製 TST-DTM86 2024 3月現在、通販送料込みで1800円位。 DCV ACV測定は600Vなので大概の真空管アンプに使用できる。が、DCの電流は0.2Aまでなので電流測定には制限がある )とアナログ(SANWA SP21 DCV, ACV600Vまで。DC0.3A) の違いも比較してみた。

小生のEL34(6CA7)PP (T) のメインアンプは写真2のとおりアルプスのロータリーVRを使用している。2018年の再組立て時に回転スライドVRから切り替えた。以来6年たってもガリ雑音がない。31ポジションの固定接点?で抵抗が決まるようなので抵抗の変化の実測をすることにした。ついでに、アンプの入力回路での分圧も実測してみた。

図2 アルプスロータリーVR(31position)公称100KA  実際の1-3間の抵抗はアナログテスターで84.8KΩを示しデジタルのものは85.3Kを示した。公称100Kに対し約15%レス。誤差が結構大きいがアンプの音量変化に支障がない。小生使用のアンプには誤差の範囲であろう。グラフの系列1,3はVRの端子2-3間のもの。系列2,4はVRの端子1-2間のもの。小生の8畳間、距離1.4mではポシション9,10の位置が適。

 

図3 単3電池2本(DC 3.22V:アナログ デジタルともに同じ3.22Vを示した)による分圧の実測 。図1におけるR3=510KΩ(=EL34PP(T)アンプの入力インピーダンス)。計算による結果とD(デジタル)の測定結果がほぼ二ヤイコール。

 

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年2月(2)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年2月(2)

2024年2月15日

昨日(2/14)、生あったかい風がすこし強く吹いて、ご近所の方々の挨拶も「今年はこれで雪も終わりですね~」と。庭にあるいまだ固い桜の花芽も少しずつ膨らんできているような気がする。”ふきのとう”も地面からひょっこり。まだ小さいが1年に一度かぎりの自然の恵みだ。

スズメの餌場(高さ2.5m位)。雪がたまって地表が見えない時には200羽くらいが来ていたが、今日(2/15)は半分以下となっていてあと2週間くらい(2月末頃)で餌やりもやめれそうだ。飼い猫の2匹も日向(ひなた)でまどろんでばかりいる。スギ花粉の脅威もせまっているということだ。そう思うと憂鬱になる。

小生の部屋は8畳+床の間と押し入れ2畳だ。ベッド、机、オーディオラック等が幅を利かせていてスピーカーとの距離は1.4m(どうも君)~1.7m(スワン)。無秩序にハード、ソフトを増やしてきた結果だ。

どの程度の電力(Watt)がリスニングに適当なのか?計算で音圧(dB)で確認してみることにする。

図1 出典「数学解法辞典」1976 旺文社 

計算するには”対数/指数”計算が必要なので数学辞典と格闘することに。同書は大学受験の際に買い求めたものだ。対数・指数の公式一覧を眺めていたら、懐かしい計算尺の記述があった(図1)。

計算尺でエピソードがある。

理工学部を卒業したものの運転免許しか持っておらず「公害防止管理者」の国家資格取得にトライしてみることに。自腹。会社からの「命」でもなく、”これ”を持てば就職や社内でも優遇されるといった口コミがあったからだ。当時、「銅合金鋳物」製造大手に就職し「熱処理」担当の現場に配属されたが、「バラシ」*と同じ工場内であったので(砂)粉塵が想像に絶する環境であった。大卒は小生ひとり。周りは下請け会社のキン肉マン諸氏ら。環境問題が少しずつクローズアップされてきた頃だがまだまだおおらかな時代。マスクつけていても鼻の穴が真っ黒で、、。「事務所の女の子たちにどう見られているか?」。多感である時期であるがゆえに、、なんとかこの職場から抜け出したいという思いが強かった。

*「バラシ」:砂型に鋳込んだ製品を取り出す作業工程で「型をバラす。」からきている。クレーンとキン肉マンの人力(=大きな金づちで砂落とし)が頼り。当時の(会社の)環境基本は、”粉塵を外に出さない”⇒だから工場という”箱”の中で”鎮静処理”された。

「大気第1種」の受験時、卓上計算機(計算尺も可)の持ち込みが許されていた。当時の小生の給与の約1/5にあたる小型卓上計算機**を試験のために買った記憶がある。

**たしか8桁のもので単3 4本?使用で12,500円位

で、エピソード。設問が分野ごとにあって分野ごとに数問用意され正答率が60%以上でないと不合格となるというもの(=分野毎に60点以上が必要)。途中トイレ休憩があった。一斉に受験者がトイレに。会社の仲間同士であろうか?用を足しながら「答え合わせ」をしていて、「同じだ、同じだと」歓喜していて、、、あちこちで「うんうん」と。小生の解答とまるっきり違っていたから”ボッチ”に。「アッチャ~ やっちまった~!!」。

約6カ月後、合格証書(昭和50年(1975) 3月20日付)が送られてきて「あらま、びっくり」。もうあきらめて今年もチャレンジしてみようか?と考えていたところだった。試験会場で答え合わせしていた(間違った答えで)歓喜を挙げていた諸氏各位はどうだったのだろうか?? 思わず優越感に浸(ひた)って”ほっこり”。(ま、こんなことだから、、、小生の”小物ッぷり”は昔も今も変わらん。、のだと。つくづくそう思う。)

話を戻します。

リスニングの最適Wattについては自由空間***での計算式は次の図2の通り。ただ部屋はベッド等もあるから結構”デッド”となっていてそのままでの適用に無理がある。で、反射があって適当なデッド感を加味したものを考えてみることにした。なを本件は小生ブログ「⑫トラブルシューティング(1)ハム雑音(本質や許容限界含む)”②ハム雑音のめやす“」からの発展です。

***自由空間:反射音がなく解放されたおおきな空間のこと。音の直進を妨げるものが存在せず且つ屈折しない音場のこと。自由音場(free sound field)と同意。

図2 リスニング位置によるスピーカーの音圧計算 音楽リスニングには一般に80~85dBがよいとされている。

小生が運用しているEL34(6CA7)PP(3結)無帰還20W (ただしRL=16Ω入力0.7V時)とTWIN型バックロードホーン(ユニットはFOSTEX EF108EΣ 10cmフルレンジ90dB )でチェックしてみることにした。  前述とおり、小生のリスニング位置は1.4m。

図3 グラフは「スピーカー&エンクロージャ―百科] 65頁(誠文堂新光社)からの引用。朱線はライブとデッドの中間線で今回の計算のために小生が想定したもの。右表は上限線(ライブ)からの読み取り値
表1 90dB音源からの距離に対する減衰値 ライブな環境の補正値を加味。
表2 100dB音源からの距離に対する減衰値 ライブな環境の補正値を加味。

正直、意外な結果である。別に測定したわけでもないが普段のリスニングの入力ボリュームの位置からなのか、90dB音源から1.5Watt×2(STREO)=3Wattでも少しうるさいのでは?、と、思い込んでいた。

表1で、 例えば2個スピーカーで3Watt時1,4mの位置では80.1dBでちょうどいい具合だ。図3のグラフでデッドな環境ならもっとヴォリューム(Vol.)を上げなくてはならない。小生のリスニングルームは10m位離れている生活道路からのご近所同士の”挨拶声”も聞こえるし、残響感のあるライブな部屋ということになる。

ついでに、”どうも君”のスピーカー端子からのAC測定をしてみた。テスターにはAC 3Vレンジがある。”ドン”****という少しおおきな音で、瞬間だが0.3Vと確認できた。計算すると0.01Watt/片Ch*****である。実際の信号ではうまく測定ができないようだ。1.5Wattなら約10倍の3.4V位が測定されねば。。

  • ****2024.1.20 NHK FM ベートーヴェン交響曲第7番第1楽章
  • ***** 0.3V=√(X watt ×8Ω)より X=0.011watt
図4 分圧計算式

リスニング位置におけるWatt数についてはすっきりしない。で、さらに同アンプで追試してみることにした。

アンプの入力VR(可変抵抗100K A)はアルプスのロータリー式(31position)のものを利用しているので抵抗値をきちんと測定さえすれば、図4の”分圧計算式”とアンプの”入出力特性”などを利用すれば可能かもしれない。(CDプレーヤーの実効出力は2.0Vなのでアンプの入力電圧が計算で求まるため)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年2月(1)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年2月(1)

2024年2月5日

小生のプチ幸せ。

夕食の副菜に びんちょう鮪*(まぐろ)の”さく”を利用した自家製昆布締め(こぶじめ)を食した。小生と妻は富山県出身だ。昆布やわかめは小さいころから身近な存在だ。富山では”わかめ+ジャガイモのみそ汁”は定番。ま、”ウッへー!”と言われるかもしれない。

*当地での呼び名。鬢長(びんなが)マグロのこと。キハダマグロ同様漁獲量が安定し価格も安定している。小型のマグロ(それでも1.5mくらい)。

”さく”は白みがかったピンク色をしていて柔らかい。そのまま刺身にして食してもいいがすこし臭みがあるのと弾力がなく食感がいまいち。で、びんちょう鮪の昆布締め。小生流といえば生姜(しょうが)の千切りを昆布と身のあいだに挟むことであろうか?わずかに残る生臭みがとれる。

ここで裏技;”さく”が入っていたトレイ(発砲スチロール:よく洗って水切りをしておく)を利用すれば作業もはかどる。

  1. 昆布締めの乾燥昆布**の縮れを伸ばすため水に3~5分くらいつけて、伸ばしたものをトレイの上に1枚敷く。
  2. 粗塩をほんの少しパラパラと振りかける。
  3. 生姜(しょうが)の千切りをまんべんなく敷く。
  4. “さく”から一口大(5mm厚)に切り取って、その身が重ならないようにして置いていく。
  5. 同昆布を上からかぶせる。段重ねもできる。小生の場合、3段となったので昆布は合計4枚。
  6. トレイのままラップを巻いて輪ゴムで止め冷蔵庫に。2~3時間寝かせておけば完成。
  7. ラップを外してトレイごと人数分切り分け、トレイをはずせばきれいにお皿に盛ることができる。

**乾燥昆布。小生は出汁(だし)用の利尻昆布を利用。細長く縦方向に巻いている。水でこの巻が伸びて幅5~8cmくらいになる。昆布の長さは”さく”の長さよりすこし長めに切ってもよいし短いものを並べてもよい。真昆布、羅臼でも可。高級なものは縮れ伸ばしの工程をはぶくことができるが、表面を酒(水でも可)などで拭きとるひと手間が必要。

身がピンクから赤身に変わっていかにもうまそうだ。水分が適当に抜け食感もある。ダイコンサラダを添えてワサビ醤油で炊き立てのご飯に乗っけて”パックンチョ”。

なんと”ごはん”おかわりとなった。小生はこの昆布も食す。柔らかく粘り(旨味)が出て、そのままか、ワサビ醤油でいただく(ハサミで一口カットの手間がある)。お茶請けにもよい。

追記) 2024年2月21日 小生ブログ(左のツリーの固定ページ)で「(31)バチマグロ(めばちマグロ)の切り落としの昆布締め(こぶしめ)の紹介」をアップしました。

さて本題にはいります。

なぜ電源トランス(PT)を利用したらシャーシに触っても感電しないのか?

図1 実機を使用してPTを介したあとの漏れACのチェック方法。AC電源の極性、通電の有無、他ソースとケーブルで結ばれているかどうか大地アースとつないだらどうか?ちょっと条件を欲張ってみた。
真1 EL34PP(愛称オールマイティ)の大地アース用端子。この端子はシャーシから浮かせアンプの1点アースにつないである(=アースのループを造らない。)

アンプはシャーシアースが当たり前なので、各所の電圧測定はシャーシ間電圧ということになる。専門誌の製作記事内の電圧値もそうだ。大地アースはまれなケースだ。本当はどうなのだろう。音の違いがあるのだろうか?

図1のように漏れAC***をチェックしてみた。実際のところアンプのシャーシをアース(=PTの2次側ゼロ(0)端子)としているから、その0端子と床との間に電位差があってもおかしくない。電位差しだいで感電しないのか?

***漏れAC  ただし小生の呼び名です。アンプ回路のマイナス線を大地アースにつながない場合、アンプのマイナス線と大地間にAC電位差が実際にあるため。(PTの磁束漏れからの誘導ACなのか?2次側の”0端子”までの巻線?が関係しているのか?小生もよくわからないところ。NET内でも答えはなかった。)

表1 FM受信&CDプレーヤーは電源OFF状態のまま

意外と漏れているものだ。

NET内では、体に電流が走った場合、”ビリビリを感ずる”のは1mAだそうだ。ちなみに耐えられないほどのものは10mA、運動の自由を失うのは15mA。また電圧でいうと30Vまでは危険が少ないとして電気事業法による規制にかからないとのこと。

図2

PT付アンプで感電しないのは、「大地間と電位差があっても電流が流れる回路となってないから」と結論づけた(図2)。当初のとおり、PTの1次巻と2次巻が絶縁されているからということになる。

シャーシアースのままか大地アースとするのか? 小生の本アンプで聴感の違い(音やハムを含む雑音など)は認められなかった。というより、「わからない」が本当のところ。

 

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(5)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(5)

2024年1月27日

暴風雪をともなう荒れた2日間”うそ”のようだ。おだやかな朝で気温もすこし上昇した(3℃)。室内は意外と乾燥していて手元の湿度計は51%。冬場は洗濯物の乾きが遅い。室内干しでも2~3日かかる。ま、スローライフ。不都合はない。

写真1 プロコフィエフ 交響曲第5番 カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 廉価再販のもの。1968 ADD

今、プロコフィエフの交響曲5番を聴いている。カラヤン ベルリンフィル 1968 ADD。CDの廉価(れんか)版をオークションで入手したものだ。廉価版なので当初の併録されていた同1番(古典交響曲)が割愛されているのが残念。録音はいたってクリア。優秀録音にはいる。演奏もすばらしい。

図1 スワンBOX(バックロードホーン)にはFostexのロングセラー(FE108EΣ=バックロードホーン専用10cmフルレンジ(8Ω,90dB))とツゥィター FT25D(8Ω,90dB)を3.3µF(正相接合)で組み合わせ、アンプのOPT2次側インピーダンスはそのまま8Ωを使用しています。ツゥィターなしの場合低音が出すぎて音楽としてバランスが悪いためです。小生の使用ツゥィターはすでに廃型になっているので、90dBのものであれば小生のとおりコンデンサー1本でうまく行くと思います。もしツゥィターの音圧が高ければプラス側リード線に可変VRを直列に入れて調整すればよいと思います。

 

先回ブログ(2024.1.23版)はトランスレスのアンプをとりあげた。1960年代はTVやFMチューナーのKIT販売もあった。物不足だから、TV、ラジオ、ステレオも修理が当たり前で取り扱い説明書とともに回路図の添付もされていた。町の電気屋さんは近くなら出張修理もしてくれた。

トランスレスのラジオ、アンプなどは家庭用電源100V ACのラインから直接のものだ。家庭内に張り巡らされた配線、モータを持つ家電など、ラインからの雑音混入も相当なものと想像できる。電圧変動も直接性能に効いてくる。

電源トランス(Power Transformer 。以下PTと略します。)を使用したアンプ類は”なぜAC極性に関係なく感電しないのか?”

「あたりまえだ!。PTにより2次側はラインと絶縁されているからだ。」とすぐに反応がきそうだ。

しかしそうなんだろうか?。。。。。。 気になってしかたがない。(実機による実測など。次回。)

今回はダイオード整流と大容量の電解コンデンサ平滑による平滑回路をまとめてみることにした。こちらは専門誌に紹介されているものばかり。小生の場合、アースはシャーシアースを前提としている。シャーシアースは誘導ハムを防ぐのに効果がある。大地アース直接かシャーシ―から大地にアースすることもできる。別にシャーシにアースされていなくても回路として成りたてばよいわけでアンプビルダーの好み?こだわり?でよいと思う。

図1 ①1 半波整流(half-wave rectification)  ②両波(=全波)整流(full-wave rectification)
図2 ④半波倍電圧整流(half-wave voltage doubler rectifier) ⑤両波倍電圧整流(full-wave voltage doubler rectifier)
第3図 ③ブリッジ整流(bridge rectifier)。両波(全波)整流で2次側の中間点(0点)が不要。
  1. 「半波倍電圧は交流電源の接地側と直流出力の接地側を共通にできるのでトランスレスにした場合接地に関するトラブルが少ない。両波倍電圧回路は、直流出力端子が交流電源の接地側から浮いた形となっているのでハムを生じやすい欠点がある。
  2. 電圧変動率*および、リプル**含有の点から一般に両波倍電圧回路のほうが良好で、PTを使用する際はもっぱらこの方式が使用される。」

1,2の「 」内文章 武末数馬著 「真空管アンプの設計と製作」より引用させていただきました。

*PTの電圧変動率%=(Eo-E)/E×100 。 1次側交流電圧を定格値に保ち2次側に定格負荷をかけたときの2次電圧をEとし、そのままの状態から無負荷にした場合の電圧をEoとした場合。

**リプル:平滑しても取り切れない脈流のことで、ダイオードから直接コンデンサーにつながる場合(このことをコンデンサー入力という)、計算上では2~4V前後になるのが一般的な値。これが音量ヴォリュームの位置に関係なくハム音として残る。脈流なので交流とみなし、抵抗Rやフィルター用チョークによって少なくすることができる。チョークは鉄心にコイル巻なので誘導性コンダクタンスXL(単位はΩ)が発生する。アンプの平滑回路で用いるフィルターチョークは、直流に対し巻銅線の抵抗なので抵抗が小さいので電圧ドロップがわずかで済む。しかしリプルに対しXL=2πfLの抵抗となる。  fは(家庭内)交流電源周波数:ただし半波整流の場合50Hzまたは60Hz、両波整流の場合は100Hz,120Hzの倍になる。Lはインダクタンスで単位はヘンリー(H)。例えばL=5(H)のフィルター用チョーク(TANGO MC-5-250など)として50Hz両波整流とすればf=50Hz×2=100HzとなるのでXL≒3142Ωとなる。フィルターチョークを使用することで抵抗Rを使用するより結果的に費用が抑えられる。詳細は 小生ブログ⑫トラブルシューティング(1)ハム雑音(本質や許容限界含む)内チョークの役割を参照願いたい。

次回

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(4)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(4)

2024年1月23日

およそ25cmの積雪もほとんど消えて早春に咲く水仙が芽吹いてきている。このまま小雪(しょうせつ)で済めばよいが~。歳を重ねるごとに生活道路までの除雪も体にこたえる。

1/23夜半から大雪マークが出ている。(追記1月24日朝7:00 マイナス3℃。積雪7cm。風が強かったので山雪(やまゆき)となったようだ。久しぶりに除雪車が入ったが、玄関から生活道路まで30分ほどで除雪を終えた。)

これ以降の内容は、小生の③テスター1丁の真空管アンプの設計(・製作) (4) 2024年1月24日更新(電源編(1)トランスレス)と重複掲載

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トランスレスのアンプ(正確に言えば電源トランスのないアンプ。)は、プレート電圧DC100V~300Vくらいで動作する出力管*を使用することで可能で、アンプの重量の軽減とスペースの削減ができ、結果としてコンパクトにまとまるし費用も押さえられる。その代わり100V ACの極性**を選ぶので注意が必要である。間違うとむき出しの金属部分(シャーシ、トグルスイッチなど)を触っただけで感電してしまう。ラインからの直接だから電撃もかなりある。

* 3,5極管 6BM8(ヒータ電圧の異なる8B8,16A8,32A8,50BM8)、5極管50R-P25など

**100V ACの極性:詳細は本ブログ1月(2)内   (2024年1月13日図1,図2参照。)

専門誌に掲載されていたトランスレスアンプの配線図例を図1、2に示す。なを図2は誤植もあるので小生で訂正しておきました。

図1 16AR8(6BM8の16V点灯管 0.3A/本)PP 固定バイアスMONO。整流部は整流真空管(17Z3)の半波倍電圧となっているので平滑後の電圧はおよそDC280V。金属シャーシにアースしてある場合、シャーシにさわったりMICの外側が金属であれば感電することもあるのでスイッチを入れる前に“必ず”ネオンランプの一端を手で触ってランプが点灯するかどうかを確認する必要がある。点灯した場合ACプラグの差し込みを”必ず”逆にすること。ただし現代にあっては簡単にテスターやドライバ型検知器などで100V ACのHOT側を簡単に確認できるのでネオンランプの極性チェック回路を省くこともできる。なお、オリジナル図に朱線、水色線、茶矢印(=整流管の電流の向きなのでダイオード整流に置き換えすることもできる。)、200µF(150V)のコンデンサーの極性は小生の追記。(出典:復刻版 無線と実験 501回路集)
図2 6BM8 2本/STEREO 2Wx2 。ダイオードによる半波倍電圧整流。ただしヒータ用トランス(100V/6.3Vx2A)使用。ダイオードはスイッチON時のサージ電流***を考慮して300Vx100mA以上のものを利用するRsはサージ電流の保護抵抗でRs=5~30Ω(5W以上)の巻き線型が適当。ただし取付位置はこの図のとおりだと意味がないかと思う。水色線にはアースマークがないのでべ―ク板などに配線し金属シャーシとは隔離してある。ただし入力部のジャックのマイナス側もそのまま回路に組み込まれているので本回路内のみの使用限定と思う。で、外部からのソースにはアース部を切り離す必要がある。感電や外部ソースのトラブルになりかねないので注意したい。朱線、水色線など小生にて追記。なを、柿色丸部は+-(極性)のミスプリ。朱丸部の保護抵抗の位置も朱矢印の位置に変更すべき。出典 同書
図3 シリコンダイオード(オリジンSE-0.5)の許容サージ電流の保証曲線 出典「真空管アンプの設計と製作」 武末数馬著

***整流ダイオード(オリジン SE-0.5)のデータによればサージ電流IbS=32A at0.04秒の場合、ダイオードへの入力前電圧をEp、保護抵抗Rsとすれば Rs=√2・Ep/Ibsが成り立つのでトランスレスの場合Ep=100(V AC) から Rs=4.4Ωとなる。

代表的なトランスレスの電源回路を図4,5,6に示す。(なを、両波倍電圧の方法もありますが、ヒータの一方をアースすることができないためノイズの点で不利。小生の手元にあるメーカー製品の回路集でも確認できなかったので割愛しました。)

図4 ①トランスレス半波整流 マイナス側とシャーシ間に0.05µFの無極性コンデンサーを挿入。100VACの極性をミスってもシャーシにさわっても感電しない。
図5 ②トランスレス半波倍電圧整流 図4同様にシャーシアースには0.05µFを介してある。
図6 メーカー製のトランスレスアンプの感電防止策 出典 無線と実験501回路集 1960年代の真空管の回路集 誠文堂新光社
図7 ランスアンプの増幅段の入力部。LP CDプレーヤーなどの独立した外部ソースとの接合には十分留意が必要

フェイル・セーフ****の観点から、ACの極性を間違えても安全であるべきという考え方から回路のマイナス側にCR0.05µFを介してシャーシにつなぐ方法が、1960年代のメーカー製の回路にみられる(図6)。

コンデンサーのリアクタンス *****をXR(Ω)とすると XR=1/(2πfC)となる。fは周波数、C(F)。例えば100V AC電源で50Hz C0.05µFならば計算式からXR≒64KΩの抵抗が介されていることと同じ。アンプのマイナス線がHOT側になっていたとしてもシャーシに触っても尖頭電圧(せんとうでんあつ=ピーク電圧の意)は100V・√2≒140Vとして電流i=140V/64000Ω≒2.2mA となり、床から大地までの抵抗もあるからまず感電しない。しかしこの方法で外部ハードとの接続にはジャックのマイナス側と電位が生じるので図7のとおり入力ジャックのアースはシャーシから独立させておいたほうがよいと思う。

**** フェイル・セーフ(fail safe)   機械などで一部に故障や誤操作があっても安全なほうに作動する仕組み。(大辞泉より)

***** 容量性リアクタンス(capacitive reactance)。コンデンサーによる交流に対する抵抗のことで単位はΩで、複素数であらわされた虚数部分。

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次回

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(3)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(3)

2024年1月15日 冷たい北風を伴う雪 気温は2℃ 予報では今日夜半から強風、雷のマークがある。こんな時に、こんな時に、、余震が怖い。

写真1 ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲 イ短調op53 Vnムター(52歳時) ホーネック指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 2015 DDD 録音良好 併録ドヴォルザーク 「ロマンス」op11,「マズルカ」op49,ピアノ伴奏でユモレスク made in EU盤

ドヴォルザークはピアノ、ヴァイオリン、チェロの協奏曲をそれぞれ1曲の名曲を残している。チェロ協奏曲ロ短調op104が圧倒的に人気が高くCDの種類も多い。小生のCDコレクションのリストをみても、Vcロストロポーヴィチ,カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 (1968 ADD)の名盤のほかに8itemもある。クラシック音楽の中でも傑作中の傑作だと思う。

さてピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲はどうだ。CDの種類も少なく当然廉価(れんか)盤も見当たらない。オークションでも稀少価値がプラスされてスタート価格も高く設定されている。

(演奏家にとっても)人気がいまいちなのは、両曲とも交響的要素が強いからだという専門家の”評”もある。要は、独奏者の見せ場、聴かせどころが少ないのではないか?

1月15日 写真1のCDが到着した。新品未使用。普段の小生のCDオークションでの落札価格のおよそ4枚分にあたる。それほど興味を引いた。きっかけはNHK-FMの午後2:00~3:50のクラシックカフェでオン・エアーされたことだ。

いつものとおりEL34/(6CA7)PP(3結、無帰還 愛称「オールマイティ」)アンプでFM放送を楽しんでいたが、同曲の第1楽章ヴァイオリンの独奏が始まったとたん、思わず「や、これは?、これは、、ムターの(ストラディバリウス)の音だ、のびやかに、しなやかに。。。すごい!すごいな~!!」

アンネ=ゾフィー・ムターは13歳でデビュー(1976)。あのカラヤンと。天才ぶりをほしいままに今日まであるが、なぜかレパートリーにドヴォルザークの協奏曲がない。本録音(2015年52歳)がはじめてだそうだ。なぜか??俄然(がぜん)こちらのほうの経緯(いきさつ)?いや、物語?も知りたくなった。

CDに小冊子(ライナーノート)が付随している。その中に「なぜムターがいままでドヴォルザークのVn協奏曲を弾かなかったのか?」ということに少し触れている

本CDのライナー内5ページ目にそれがある。要約すれば、”他の曲にくらべ遅れてレコーディングしてしまったのは、弾くのに”情熱”を持つ時間が必要だった。しかしこれからは多くの仕事をこなしている中でも何度も弾きたいリストになりました。”と。

52歳にして初レコーディング。しかし見事だ!。指揮者ホーネックのサポートも見過ごせないであろう。やはり本曲は交響的要素が強い。どちらかというとヴァイオリニストの演奏はバックが強すぎると埋もれてしまうようだ。

で、本CD。いままで小生の中でスルーしていた旋律の美しさ、躍動感、スラヴ的な情趣?がたくさん盛り込まれていることがわかった。すっかり主要主題の旋律が小生の脳に刻まれてしまった。

もうイントロですぐに本曲がわかるであろう。ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキー、シベリウス、ラロ、サンサーンス、ハチャトリアン、コルンゴルドなどと同様に。。。。

幸せである。

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(2)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(2)

2024年 1月13日

午後になっても外は1℃。雪が積もって10cm位。

能登地震の余震が未だ収まらない。ただ小生の住む上越市では有感のものがほとんどなくなってきたように思う。積雪の中、さぞやつらい思いをされているに違いない。

小生のブログで ③テスター1丁の真空管アンプの設計(・製作) (進行中)がある。増幅段までは公開済で、次回は「電源の整流と平滑」の予定。で、資料もそれなりに準備したが、普通に電源トランスを使用すればライン(100V AC)から絶縁されるので、シャーシアースをしてもシャーシからの感電はないし誘導ハムに対しても有利である。しかし(電源)トランスレスアンプもあるよな~ てなわけで、すっかりはまってしまった。

トランスレスアンプはACの極性*を間違うと感電してしまう。だから50年前くらいに出回ったフロワー型の汎用ステレオはほとんどがラジオとLPプレーヤー**が実装されていて、ヴォリュームやスイッチはすべてプラスチックでおおわれていた。金属部分が触れられないよう安全設計がされていたものだ。亡き父が買ってくれたフロワー型のそれもそうであった。AUX端子もない6BM8シングルの電源トランスレス品であったと記憶している。

小生は消耗が激しいサファイヤ針をあきらめ、ダイヤ針付きのカートリッジMM型***(5mVの発電)に変え、さて見合った別個の入力端子がないし発電が小さいからそのままでは再生できない。で、電源トランス付きの12AX7× 4本/STEREOのプリアンプを作ってトランスレスアンプに無理やりでつなごうとした。父は感電の危険があるから「プリアンプのシャーシには必ず大地アースを着(つ)けろ!」と、注文してきた。もう命令だ。が、反抗期だ。それも聞き入れず。で、とうとう地面に銅棒を打ちこみ、そこから太いビニル線をつないで小生にさしだした。ま、小生も折れて、プリアンプのシャーシにつなごうとしたのだが、そのとたん、なぜか、”線香花火”のような火花が散って「ギョッ」としたものだ。いくばくかのプラス電気がアースされたのだ。フロワー型ステレオとプリアンプの電源が切ってあったにもかかわらずだ。そのことを今も鮮明に覚えている。「バチン」といった閃光ではないし、プリアンプのシャーシをさわっても感電の感覚もなかった。

そして、サプライズがあった。それまでフロワー型のアンプから結構ハム音がでて気になっていたが、大地アース済のプリアンプの電源をいれたらなぜかハム音がピタッと止まって再生音も良好だった。当時(=高校生)不思議でならなかった。思い返せば、リークしていたAC?がハム音を打ち消した???としか思いつかない。

  • *家庭用ACは100VでHOT側(活線)とアース側(死線)がある。家の備え付けコンセントにはきちんと区別してあります。後述。
  • **クリスタル型カートリッジで(交換針はサファイヤ)
  • ***MM型(moving magnet)。
    写真1 MM型のカートリッジ

    現在もレコード再生の主流。このほかにMC型(moving coil)があるが起電力がMM型より約1/10なので入力部に昇圧トランス****を用いることもある。真空管での増幅も可能だが、ハウリング、ハム対策が難。師範クラスでもてこずるであろう。

写真2 コネクター型の昇圧トランス SONY HA-T10 30数年前に購入。サテン DENONなどのMCを利用した時に、本トランスをPhono inputに差し込んで利用していた。利得は26dB(20倍)とある。ゲイン(利得)のdB計算は対数の公式を展開させて求める。関数計算機があれば指数計算も簡単に求められる。

ま、前書きはそのへんにして

図1 家庭用AC単相3線の配線図 100V用と200V用(リビング用クーラーなど)  100V用にはHOT側とアース側があり極性がある。200V用のコンセントには2つのHOT側のプラグ挿入口となっていて大地アース用の挿入口が別にある。
写真1 大地アース端子付き100Vコンセント。挿入口の長さが違う。短い7mmの挿入口がHOT側。なを、コンセントは電気工事士が施工しなければいけない。HOT側をアナログテスターで確認。方法は図2のとおり。この方法で小生宅ではAC1200Vツマミで30V位となる。小さな電圧だから感電しない。同様に逆のアース口(8.8~9.0mm)にプラスのリード棒を差し込むと”0”のままで針は振れない。なお、市販のマイナスドライバー型の検電器も利用できる。1000円~2000円位で通販やホームセンターなどで手に入る。
図2 HOT側確認法。市販のテーブルタップのHOT側の確認方法も同様にできる。市販のものは挿入口の長さが区別されていないものもあるので要注意。

次回 トランスレス電源の整流と平滑 with トランスレス真空管アンプ回路紹介となります。

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(1)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2024年1月(1)

2024年1月6日

1月1日 pm4:10分ころ 能登半島地震(震度7=家屋壊滅状態の揺れ)が発生し、小生の住む新潟県上越市でも震度5強という揺れになった。

ちょうどクラシックのCDを聴き終えてアンプを切って5分くらいであったろうか?

写真1 左 CDラック(自作)が吹っ飛んだ。 右 CDラックを除いたらCDの散乱が、、、 CD BOXから紙ケースのCDが飛び出し、10mmプラケースが壊れ、CD本体も飛び出していたものがあった。幸い、盤面にキズが発生したものはなかった。この程度で済んだんなら”よし!”とせねば。

最初「あ!揺れたな!ちょっと大きい。震度3~4位か。。。」と思って、TVをつけようと思った矢先だ。最初の揺れから数秒もたたないうちにスマホからの「強い地震に警戒!」のアラームがなったかならないかうちに家自体が突然大きく揺さぶられたのだ。小生の家屋は木造2階建て。築35年。リスニングルームを兼ねた部屋(和室 8畳+床の間+押し入れ)は1階だ。逃げ出すどころかそこにとどまるしかなかった。天井からのぶら下げタイプの室内灯*の傘が揺れて天井に当たるし、正面のCD、DVD収納ラック**が吹っ飛び中身が散乱するし障子も破れた。真空管アンプなどが収まっている木製のラック***が左右に大きく振れて、それでもラックの側板につかまりながらとにかくUV211Sの横滑り落下を防がなければと必死であった。今から思えば2階が崩れれば下敷きは間違いないところだった。

強い揺れは30秒近く続いたが、ライフライン(電気、水、ガス),室内ランも一応生きていることを確認。居間にいた家内の安全を確かめたが飼い猫2匹が見当たらない。1匹(太郎)は30分前にパトロールのため外に出ていったから近くにいるはずだ。家にいた1匹(ニーニ)が見当たらない。地震が収まって声をかけても姿を現さない。そのうちTVや市内の緊急連絡スピーカーから「大津波(3m)が来るから逃げろ!」と悲鳴にもにた連呼があって避難を決断(避難先は200m先の小学校。歩いて向かう)。飼い猫を早く見つけて一緒に避難をと焦る。小生の住むところは海岸から直線で約1.5Kmで海抜2.2m。3mならば確実に到達する。ただ、いつ到達するか?よくわからん****。

*今風に言うとペンダントライト。

**もともとあったレコード棚(倒壊はなかった)の上に増設した自家製のもの。固定するなど耐震対策していなかった。1月4日に木ネジで固定してようやくCDなども元に戻すことができた。

写真2 (撮影は1月6日のもの) 板を組み合わせたオーディオラック。⇔の方向に揺れが激しかった。破壊も覚悟したが事なきをえた。ネジの緩んだところもあったので締め直し。

***ネジによる組み立て式。40年ほど前に購入。側板860(H)×400(D)×20(T)mm/枚 ,たな板510(W)×400(D)×30(15)mm/枚

****実際は大津波警報が発せられてかわずか25分で第1波(60cm位)が来たとのこと。(地元放送局による映像もアップされています。直江津 津波でヒットします。)”前情報など(=1~2時間くらいで到達か?)”、なんの役にもたたない。小生なんか、そのころご近所のかたと、「逃げるの???」「海抜が3mもないからとにかく避難しようよ!」とか話していた。これだもんな。。。家内は飼い猫が心配で避難どころではなかったようで、30分後には”ニーニ”、1時間後に”太郎”を無事保護することができた。これだもんな。。。。

(追記1)陸上に上がってからの津波の速度は34km/h(≒ 100m 10秒)そうな。海岸に到達してから我が家まで約160秒 3分かからない。早い!!!!

(追記2)上越市と今回の震源地近くの輪島市との直線距離は121Km。25分で第1波がきたからざっと平均290Km/h。早い早い!!!

(追記3)能登半島においてここ3年間(2020 12月以降)に群発していて、南海トラフ*****の”歪”にも関連しているという記事もあります。いずれは”歪”が開放される南海トラフ大地震の前兆であると。

***** 南海トラフ 日本列島は大陸プレート上にあり、ここにフィリピン海プレートが南側から年間数cmの割合で沈みこんでいる場所。大陸プレートを引っ張り込んでいて歪がたまっていて、近い将来その歪が開放されその際に大地震が発生すると。

(追記4) 1月5日「飼い猫を探してほしい」と町内会の回覧版が回ってきた。外に出たことのない飼い猫とのこと。元の居場所がわからないのかもしれない。家族同様だ。寒空(さむぞら)でとても心配だ。

写真3 1月4日 飛び散ったCDがようやくラックに納まった。レコードプレーヤーはわずかにななめ横に動いただけで難をのがれた。レコードプレーヤの足にゴム板を置き、15mmの平の木板を介してから毛布をクッションとしている。カートリッジの微弱信号増幅にともなうスピーカーなどからの振動対策であったが免振にも効果があったのかもしれない。なお反対側の壁にもこの2倍のCD用のラックが備えてあるが、こちらは木ネジで柱に固定してあったし、CDも隙間なしのぎゅうぎゅう詰めであったので飛び出しもなかった。

昨年末から 真空管アンプの「整流と平滑」******の資料を集めていて、ちょうど「トランスレスの場合はどうなのか」?といったところで今回の大地震。まだまだ当地でも余震がつづき(有感地震が2~3回/日)全く落ち着かない。1月6日午後から6~7mのやや強めの風も吹きはじめ、瞬間的に少し家が”きしむ”ので、これも地震なのか!と疑ってしまう。神経過敏になっているようだ。

******いずれブログにアップしたいと思っています。

ひと昔、怖いもののたとえで「親父(おやじ)」があった。地震-雷-火事-に匹敵するくらいこわいものだと。しかし現代にあっては 親父ではなく”女房”、”津波”、”コロナ”だとか。ま、そうなのだろう。。。。。

ペットか~ わが命の危険もせまっている中であなたならどうする?

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2023年12月(2)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2023年12月(2)

2023年12月17日(日) 朝7時。強い北風をともなう雨。外の温度計では2℃。みぞれから雪の予報だ。

昨夜は暴風(平均15m以上(瞬間風速25m以上))で家がギシギシ言うし、寝床にはいってからもほとんど眠ることができなかった。飼い猫「太郎」も風音が不安なのか小生の布団に入ってきて抱き着いてくる。抱き着くから湯たんぽを抱えるようなもので暑くて汗がでそうだ。小生は足を布団から出してひっこめてを繰り返し、挙句は夜間尿。長い夜であった。

早朝、室温はまだ12℃はある。CDオークションの結果も気になるが*、まずは暴風の影響を確認しないといけない。畑にある簡易屋根付きの物置で、入口のビニールシートが外れかかっていて修復に追われた。すっかり体が冷えてしまった。これから本格的な降雪が予想される。

*落札できた。大バッハのチェンバロ協奏曲全集 ピノック(指揮とcemb) vsイングリッシュ・コンサート1979,80(ADD),1980,81(DDD) 3枚組 Archiv 追記 到着12月20日優秀録音。

211S(愛称アルパイン)は、中段管12BH7の点灯しないというトラブル、初段管12AX7Aの破壊するというダブルのトラブルを経て、ようやく普段通りの格別な”音”、”音楽”を供してくれている。”スワン”バックロードホーン(FE108EΣ(10cmフルレンジ)+FT25D(ツゥイター)+ 3.3µF(正相接合))との相性もよい。まったく聴き疲れしないし飽きない。

出典 「真空管アンプの設計と製作」 武末数馬著

さて、先日より取り組んでいた「出力真空管による偶数歪と奇数歪」の違いを、任意(f=98Hz(バスーンの低音)**)の周波数の正弦波の数式(V(t)=Sinωt)から何かつかめないかいくつか計算を試してみている。専門書に記載されている正弦無限級数(ただし5次高調波まで) のグラフの作成まではなんとかなるがここからが詰まってしまう。

** f=98Hzとしたのは、これ以上の周波数では1秒間にいくつも振幅波が出て、グラフとして見にくいためだ。逆にそれ以下の低い周波数では同じような振幅波が出て比較できない。

図1 Em=1,α1=1,α2=1/2(0.5),α3=1/3(0.333),α4=1/4(0.25),α5=1/5(0.2)とした。

②の偶数次(2+4)の合成波と③の奇数次(3+5)の合成波で(t≒0.3~0.6秒)において形が違うことがわかる。

「さてどうするのさ!」と、ま~天の声が聞こえる。

出力真空管の偶数次の歪が聴感に影響を与えない(=不快感を与えない)という、真空管アンプのマイスターやマニア各位の定説の検証がまるでできていない。小生のチャレンジは無謀であったのかもしれない。

なら、「そうなのだ!」と受け入れるしかないのだろう。。。。。

図2 3極出力管の2A3の歪出力と負荷の関係 出典「管球式ステレオアンプ製作80選(上巻 290ページ) 上杉佳郎(よしお)先生著 誠文堂新光社

参考図書を添付しておきます。

3極真空管 2A3シングルの最適負荷は2.5KΩ***。不快感を感じると言われる第3高調波ひずみは1次負荷抵抗がさらに大きくなってもより少なくなっていくことがわかる。

3極管のUV211シングルの最適1次負荷は7kΩ。しかし小生のアンプ(愛称アルパイン)では10KΩのものが使用されている。UV211も2A3同様、最適負荷より若干高めの負荷のほうがひずみに対しては有利であることが本グラフからも容易に推定できる。

小生にとっての真空管アンプの「不快なひずみ」の検証。宿題としておこう。

2023年12月29日 追記

図3 損失がない理想OPTの場合。1次負荷抵抗Z1とは巻数比nに対する抵抗の換算値。ロードライン作成にもこの1次負荷抵抗値Z1を利用する。

*** 出力変成器(OPT(Out Put Transfbormer)

図3のとおり OPTの負荷抵抗値は巻数比nに対する換算値で、1次側の負荷抵抗を示す。(1次インピーダンスと同意。)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2023年12月(1)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2023年12月(1)

2023年12月12日小雨

6:30AM まだ暗い。気温は9℃。無風に近いのであったかく感じる。予報をみると12月17日(日)にようやく雪だるま模様がある。が、最高気温が10℃とあるから積もってもわずかですぐに溶けるだろう。遠出する必要もないから冬タイヤ交換はもう少し先に延ばせる。

写真1 こぶりだが立派なゆず(2個で133g)。家庭果樹でも栽培しやすいほうだ。”今年もたくさんなったから”ということでご近所から10個ほどいただいた。冷蔵保存が効くからレモンの代わりになるのでとても重宝する。

今年の冬至は12月22日(金) まだまだ日が短くなるということだ。冬至には カボチャを食する習慣がある。これは明治にはいってからのことのそうな。カボチャは9月から10月ころまで収穫される。約1カ月以上日陰で追熟しないとあの独特な甘味がでない。収穫して3~4カ月は(常温で)保存が効くので冬至にはちょうど食べごろということであろう。緑黄野菜の代表格でカロテン(ビタミンA)、ビタミンB1,B2,C,E,食物繊維が豊富だ。

また柚子湯(ゆずゆ)にはいるのも習慣とされる。NET内情報からこちらは江戸時代(1838年(天保)の東都歳時記に記載)からのものだそうだ。当時の江戸っ子は冬至⇒湯治、柚子(ゆず)⇒(からだの)融通(ゆうずう)が利くとかけたそうな。だから柚子湯なのだそうだ。「へ~知らなかった。。。」。

柚子。小生はレモンの代用として重宝している。なんせ揚げ物に柚子汁をチョイとひっかければ、ビタミンCのチョイ酸っぱみが油の中和に役立つからだ(=抗酸化作用)。ビタミンCは、柚子は果汁より表皮の部分に多いそうな*。小生は食い意地が張ってるから、果皮ごとスライスされた柚子やレモンはすべて食すことにしている。

*ビタミンC含有:柚子100gあたり(だいたい中くらいのおきさのもの) に果皮に160mg、果汁に40mg。レモン100gあたり(市販のレモン1個は約120g) 、果皮に50mg,果汁に50mg。比べてみてわかるが柚子の果皮、捨てたらそれこそもったいない!。

写真2 左 2年もののコナラのホダギからシイタケがひょっこり。大きさは傘の部分で5センチくらい。まだまだ大きくなる。普通は種(菌)駒を埋めてから3年かかるのだが。。。。スーパーなどで販売されている菌糸栽培ものと比べると、傘の厚み、食感、味(旨味)、香りともにまるで別物。ホームセンターなどで種(菌)駒入りホダギ1本約2000円くらいで販売されているから、少し湿った木陰などがあるようなら栽培することができる。コナラのホダギは今年2023年に去年より30%も高くなってしまって”簡単に買い求め”とはいかなくなってしまった。ただ、それから2年程度は晩秋~春先に収穫がある。ホダギものは、当地の道の駅などでは7~8センチのこぶりの傘のものが1個100円程度で季節限定で販売されてい る。干して出汁(だし)をとるも良し、生(なま)をホイール包みして焼いて醤油をちょいとたらして。。もうたまらんわ!。。  「ぬ!」 なめこ?モドキ?傘のおおきさは7cm。食べてみたいという欲望が、、、。

昨日(12月11日) 庭の果樹や、生垣の剪定と雪囲いも終わり、有機肥料(鶏糞5,油粕1,土5)をパラパラと根元に撒いて今年の作業を終えた。

なんとま~ 直径10cm位のケヤキの切り株からぬめりで光っている”なめこ”に似たキノコを発見(写真2の右)。いつもそうだが地味な色合い、傘部のテカテカといい、ヌメリ感といい、この手のものは”食べれそう”とついつい思ってしまう。ま、がまん、がまん。不確かなものは遠慮しないと。。。

アンプにアクシデント発生

同日、UV211S(愛称 アルパイン) の中間増幅管の12BH7(LEFT側)が、SW投入時にヒーターが点灯しないというトラブルが発生。2016年10月のオーバーホール以来、この手の故障は初めてだ。

写真3 原因:ヒーターのリード線において、ラグ部分の半田付け不良と判明。なんと7年間は全く問題なかったのに。。。皮1枚でつながっていたのであろう。へたくそはんだ接続の危うさを改めて実感。

まず真空管のヒーター切れを疑って、ヒータのピン(4,5,9ピン)の導通試験しても問題がない。左右入れ替えてみてもやはり左側が点灯しない。ソケットは金メッキのもので信頼が高いので接触不良は考えにくい。で、20kg超えのアンプをひっくり返し点検とあいなった。70歳を超える小生にはこたえるがしょうがない。

写真4 UV211Sの初段管12AX7Aの破壊。いつものとおり、真空管の中央部を親指と人差し指で挟んで少し小刻みに左右にゆらしながら引っこ抜く作業で、ガラス管が”グニャ”っとつぶれてしまった。”パリン”という壊れ方ではない。で、小生もケガなく。初めての経験だ。たぶん 定期点検などで何回も取り外しと装着を繰り返すうちに、ガラス管とピン足付け根に無理がかかったのであろう。細かな割れが徐々に大きくなってついには破壊へ。真空状態の担保の為に装填してある銀色のゲッター(バリウム)がすでに白くなってしまっている。代替えの12AX7はプリアンプをつぶしたときのものがまだ8本あったのですぐに取り替えすることができた

悪いことは続く。12BH7の点灯は回復したが、今度は初段管の12AX7Aが点灯しなくなった。「またまたどうした?」と、同様にソケットから引っこ抜く。。。が、抜けずにガラスの中央部から割れてしまった(写真4)。いつものように、いつもの力加減で親指と人差し指で挟んで、少し小刻みに揺らしながら。。。わずかに管の温かみも感じられたので当初途中まで点灯していたか?

とまれ、すぐに予備球で対応できたので普段のリスニングに戻ることができた。

(2023 12 15追記) 初段管12AX7Aの回路は自己バイアスなので、差し替えだけで済む。プレート電圧も70V前後の設計でプレート電流もごく小さく(0.4mA/極×2(=双極管なので))差し替え後の電圧の変化も少ない。次回の定検でチェックするだけでよいと思う。取り替え後(3日間)はリスニングにまったく問題なし。リスニングCD: マルティノン(1910~1976 フランス人)指揮 フランス国立放送管弦楽団 「ドビュッシー管弦楽曲全集」 1973~74録 EMI 4枚組 ADD 。録音も明快でいつ聴いても癒される。すばらしい!。

天が。。。”問題は続くかもよ”、とささやく。

「うっへ~!」

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2023年11月(3)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2023年11月(3)

2023年11月20日~23日

11月20日朝から雨。6~10mの強風が伴う。で、庭の木々の剪定もままならないのでUV211(S)アンプの定検を実施した。先回は5月30日だからおよそ半年ぶり。それと1点アース位置のマイナーな変更をしてみることにする。静寂時のフィラメントからのハム(10V DC )音が少し気になり始めたこともある。

写真1 2023年11月20日 UV211Sの定期点検(通電中)

 

図1 UV211S 2023年11月20日定検結果 UV211nグリッドバイアス(朱丸部)が先回(同年5月30日)から-0.5V浅くなっていた。今回-56Vに変更。わずかな変更でも12AX7,12BH7の指示電圧が結構動く(シアンピンク文字が今回のもの)。
    定検結果

  1. UV211のグリッドバイアス -57V⇒-56.5Vと若干低めとなっていた。さしたる音の不満もないが今回は-56Vにしてみた。このバイアスを浅くすれば増幅段の12BH7Aのカソードフォロワー側のグリッドバイアスが結構浅くなる(図1)。例 左-76V、右-77V)⇒左-71V、右-72V。
  2. 1点アースの位置変更(写真2&図2)
    写真2 & 図2

    なんと!無信号時のハムが気にならなくなった。静寂さが戻った。わずか30mm移動しただけなのに。。。奥が深い。スイッチの切り忘れ注意!

  3. 試聴結果 音が担保されていて問題がない。

試聴CDソース1:カラヤン(77歳の時の録音 (1989 81歳没))/ベルリンフィル ドビュッシー「海」 1985 DDD 他 Grammophon カラヤンの美学がいっぱい詰まった演奏。う~ん!録音は良くないほうに入るし。。。。。。リスナーでも評価が分かれるかも。。。

試聴CDソース2: J.Sバッハ フーガの技法(BWV1080) オルガン独奏 ヴァルヒャ 1956ADD STEREO Archiv(アルヒーフ)。 パイプオルガンはオランダのアルクマール聖ローレンス教会のもの。録音良好。澄み切ったパイプオルガンの響きが堪能できる。

試聴CDソース3:ニールセン 交響曲第4番「The inextinguishable(感情が抑えられない)」日本では「不滅」で訳されている。マルティノン(1910~1976)/シカゴ交響楽団 1965 ADD RCA 録音優秀

追記 先回ブログ 11月(2)から パワー管の3極管と5極管の歪の質について基本波(sin ωt)や偶数次や奇数次の倍音のひずみについて何とか答えがでないか試みているが、もう小生の脳が悲鳴をあげていてすぐ眠くなる。で、”も,少し”かかるかな~。

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2023年11月(2)

室長鉄男の「真空管アンプリスナーのブログ」 2023年11月(2)

2023年11月14日 雨 気温7℃

写真1 11月10日 小菊満開。3月MID。昨年と同じ場所にたい肥を継ぎ足したあと、古株の根っこ部分から分かれた地下茎からの幼苗を植えて約8カ月。シアンピンクのほかに黄色、白、ザクロ色などがある。

2日前からようやく11月らしい寒さとなってきた。庭では色とりどりの小菊が満開だ。渋柿も吊るし終えた。いままでが暖かすぎて、庭木(さくら、柿、ぐみ、ブドウ)の葉っぱの”紅葉”から”落葉”のルーチンが遅くなっている。だから例年なら11月ENDまでにすべて終える枝剪定も遅くなってしまっている。

図1 3極パワー管6G-A4 (シングル,無帰還)のEC1-Ib関係曲線  eg=Ec1/√2≒13Vの正弦波が加わったときのプレート出力電流ioの波形やや正負非対称であることがわかる。 (出典 真空管アンプの設計製作 武末数馬 著)
図2 5極パワー管6R-P15(シングル、無帰還)のEC1-Ibの関係曲線 (出典 同書)

図1は3極パワー管 6G-A4(シングル,無帰還)、図2は5極パワー管6R-P15のEc-Ib関係曲線(動特性曲線とも呼ぶ)。それぞれの図中の右あがりの線(朱⇒)が直線でないことがわかる。このことはEc1(グリッド電圧V)とIb(プレート電流mA)が比例関係でないことを意味する。ただ5極管の6R-P15の場合”青〇部”がより曲がっていることがわかる。3極管と5極管では同様の非直線性の傾向を示すが、同じ3極管でも、例えばUV211,UV845,300B,2A3でも異なる。(関連ブログ ⑨出力管(UV211 UV845 300B 2A3)の直線性の検証と歪の関係)

出力電流ioについて出典同書の解説を引用すると次のとおり。

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図3 出力管の非直線歪の計算式(出典 同書) α1,α2…は真空管の特性によって決まる定数。第1項は時間に無関係の直流分、第2項は基本波で(Fandamental Sine Wave)、入力信号の周波数と同じ周波数の正弦波を表す。第3項以下は2,3,4,….倍の周波数のもので2倍のものは第2調波(2nd Harmonic)、3倍のものは第3調波(3rd Harmonic)と呼ぶ。

図1 6G-A4 (シングル,無帰還)の出力電流 ioの波形は図3の計算式の第1項の直流分が含まれ非対称となり偶数次の高調波成分が多いことを示します。(図3の計算式の第1項,第2項、第3項。) 3極管の場合は第2調波(=2次ひずみ)が大部分で、それ以上の高次高調波成分は比較的少ないのが普通です。

図2 6R-P15(シングル,無帰還)の場合、動作基点(O点)を中心とした正負の波形は対称的になっていることがわかります。(図3の第2(基本波),4項の第3調波(=3次ひずみ)。5極管の場合、この第3調波は第2調波にくらべはなはだ多いので、出力管のひずみを概算する際には、すべて第3調波として考えることもできます。

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ま~ 計算式の理屈云々は別として小生で3極管と5極管(ただしシングル、無帰還)それぞれの出力電力波形 ioを比べてみることにした。真空管特有の定数のα1,α2…..がわからないから、あてずっぽ!! だが、気になる!   次回